歌川国芳展が六本木ヒルズの森美術館で開催されている。
歌川国芳展の大きなポスターが東京のいたるところに貼られていて、それはそれは変な違和感があり、しかし、今の日本に妙に溶け込んでいて、その不思議さの正体を掴もうと先日行ってみた。
国芳は、幕末の江戸に異彩を放った天才浮世絵師。化け猫や金魚、さらには鯉などの動物の絵がインパクトとなって艶っぽい浮世絵の世界に異彩を放っている。
そんな国芳の本物の浮世絵を見たのは、木暮人倶楽部の会員である静岡の平野美術館の平野さんにその美術館で見せてもらった時だった。ともかく従来の浮世絵のイメージとは全く異なる異空間に驚いた。
今回の展覧会でも、まるで冗談じゃないの?というような、ふざけた、庶民の遊びごとというような作品の数々を見せられて感じたことは一つ。
歌川国芳は大POPという事。
こんな面白いことを考えたからみんな驚くぞ~!とでも言っているような画面の軽やかさは、まさに江戸POPの巨人にふさわしい。
国芳が、お上からの規制で、浮世絵のけしからんことのとばっちりを受けて、表現に制約を受けるや、禁じられた役者絵から子供絵へ、人間描写が体制批判になるのなら、猫にしちゃえというように、するするとウナギ・クリエイティブを発揮する。
その軽やかさがまさに国芳のPOPの象徴だ。
解説によると、西洋画にも興味を持っていたそうで、そのモチーフを拝借して忠臣蔵の場面を描いたり、見立という役者の特徴にあった役を浮世絵の中で独自に演じさせてみたり、どうも国芳はプロデュースの血が騒ぐ芸術家のようなのだ。
人を驚かせ、面白がせ、センセーショナルなものを次から次に出してくる感覚。それがまさに江戸の漫画カルチャーとでもいうような豊かな文化の広がりをイメージさせる。
有名になった東京スカイツリーを未来透視して書いたのではないかと言われているあの井戸掘り塔がそんな風にとられるのも、国芳のPOPさ故の不思議な時代感覚だからだ。
THE江戸POP歌川国芳。
まさに戯れの巨匠、ヒットメイカーである。



