NECが運営するビジネス情報サイト「Wisdom」にて
Wisdomブログ「明日のビジネスを創りたい人へ ビジネスにおけるキャラクター活用」
対談シリーズとして掲載されているインタビュー内容です。
インタビュアーは野澤智行さん、他です。
2. インターネット時代におけるキャラクターヒットコンテンツの変化
3)今後のキャラクター活用に必要なビジネスプロデューサー視点 (続き)
稲葉 :どうしてもキャラクタービジネスに活用しようとすると、リスクを考えて、会社としていつやる、お金はどうする、って組織ががんじがらめになるような気がする。それは、ある程度取っ払う、突き放す度量が必要なんでしょうか?
【キーワード2-⑩:活用企業のしたたかさ×キャラクターに宿る精神性=成功への見極め】
吉田 :企業が使うとなったら、簡単に言えば度量というよりは、本当に上手く利用するというようなしたたかさがないとダメなんです。
あともう一つは、キャラクターには精神がないとダメです。精神がないとストーリーがつかない。精神がないと広がらない、人に何かを残せない、ただの絵になっちゃう。
キャラクターには精神がある。一番わかりやすい典型的な例が、「たれぱんだ」。もう、たれるんですよ(笑)。あれがやっぱり、あのキャラクターを広げたり、人気にさせた大きな理由。精神がある。その中の、精神が宿っているキャラクターは、やっぱり深いし、キャラクターとして強いんでしょうね。
野澤 :単なる絵ではなくて、想像させたりとか。「たれぱんだ」は意外性とかミスマッチ、そこなんでしょうね。
吉田 :佐藤雅彦さんが、築地の「茂助だんご」を見て「これが兄弟だったら面白いよね」と思ったのが、「だんご3兄弟」。だんごが兄弟である、なんていう見方。だんごに、兄弟愛とか戦いとかを載せることが出来る、佐藤雅彦さんの精神が、あのキャラクターを一つの世界観として出した。そういうものが、あるとないとでは全然違う。
野澤 :想像させたり、共感させたり、そういうのがないと。人じゃないので、キャラクターだと放っておくと、ただの絵に描いた餅にしかならない。
稲葉 :あとはプロデューサーの魂。
吉田 :あとはビジョンですね。ビジョンがないものには、やっぱり。クリエイターが何かキャラクターを描く。それが、どういう理由でキャラクターが必要なのかとか、事業ビジョンがあって、それらとクリエイティブなキャラクターが合致した時に初めて、意味が出てくる。
事業ビジョンがない時に、いくらキャラクターがあっても・・・。とりあえず作ってみたけど、どうしましょう?というパターンや、たまたま人気が出たから良いんじゃねえの?みたいなパターンも結構あるかもしれないけど。
稲葉 :本当に適当ですよね。
吉田 :そういうのが、キャラクタービジネスには必要なんじゃないかと思いますね。
4)これからの若手に期待すること
野澤 :最後の質問ですが、吉田さんはデジタルハリウッド大学大学院教授として、学生さんにいろいろ教えられてますよね。そういう意味で、教育、人を育てるというのも含めて、何か、もっとこういった点で気をつけた方が良いとか、教える方の立場として、一言二言でもあればお知らせください。
吉田 :それは学生に対してという意味ですか?
野澤 :若手に対して、学生でも若手社会人でも。
【キーワード2-⑪:これからの若い人たちへ~考えろ、感じろ、ワープせよ】
吉田 :総じて感じるのは、今の若者は本当の意味で自信がないから、己に自信を持て、ですね。何と言っても。さっきも言ったように、やっぱり思い切りやらないと結果が出ない。三振してもいいから、思い切り振れ、ですよ。しかもそれは自分で振ると言うことですけどね。
野澤 :就活本でもビジネスノウハウ本でもそうですけど、今は、バントでいいから絶対外すな、って感じのものが多いですよね。
吉田 :まあ一般的には企業の人事部がそれを求めるから。でも、ヒットを飛ばすには大降りしかない、その結果が次に繋がる。思い切り失敗できない奴は、絶対成功できない。特に若い子たちに言っているのは、それですね。
野澤 :デジハリとしては、むしろ外してもいいから思い切り振れ、と教えてらっしゃるんでしょうか。
吉田 :デジハリとしてはわからないけど、僕が教える動機はハッキリしていて。要するにヒットがいっぱい生まれれば、世の中が楽しくなり、元気になり、明るくなり、ついでに日本の経済も良くなり、もっと言えば世界経済も良くなる。ヒットが生まれるということは、明るく楽しくなる。それをやるために、一生懸命やっているんですよ。
それをやっていくために、お前もヒットプロデューサーになれ、お前もなれ、お前もなれ、と思って育てている。なので、皆ヒットプロデューサーになってくれればいい。ヒットプロデューサーになるためには、まず思い切りやれないとなれない。
野澤 :今のご時世、チャンスが巡ってこないからできない、ダメなんだ、と思ってしまう人も多いでしょうけど。
吉田 :なかったら自分で作る。そういうことを含めて、思い切りやらないとダメなんですよ。楽しい事がないまま年寄りになってもしょうがない。
野澤 :特に業界全体が微妙な時期だと、そうですよね。
吉田 :もう一つは、フリーじゃないけど、それに関わるコストが凄くかからないで済んでいる、今は。
これも『ヒット学─コンテンツ・ビジネスに学ぶ6つのヒット法則』で書いたヒットの要因の中に「低コスト・高クオリティ」というのがありますが(下表参照)、デジタル技術のおかげでお金をあまりかけないでもやれることはいっぱいある。ということは、いっぱいやればいい。それを、「いや、これがないと出来ません」というのは昔の考え方。
インターネットとかソーシャルメディアが散々出来ているのだから、どんどんやればいい。それが上手くいったら、また次をやればいい。
でも、どんどん試せるし、やれるのに、何をこねくりまわしてるの?みたいな人が多いのも事実です。どんどんやればいいんじゃないか、と。思い切りやってみる。やってみると、それが良いか悪いかもはっきりわかったり、もうやめ、というのもある。
稲葉 :キャラクタービジネスはまさにそうですね。
吉田 :ですよね。描けばいいでしょ?そんなの。
野澤 :そうですね、トライ&エラーでいいので、ネット上でも同人誌でも、どこかで提案・発表していける場はありますね。
吉田 :そういうことが凄い必要で、若い人とかこれからの人とか。自分が本当に何のためにやっているかというと、世の中にヒットをいっぱい生んで、世の中を明るく元気に楽しくしたい。そのためにやっているし、本も書くし講演もするし、学校でも教えているし、企業のサポートもするし。それに対して、若い人は思い切りやってくれないと困るんですよ。
吉田 :だからよく、僕の研修の中で、「考えろ、感じろ、ワープせよ」と言っているんです。思い切り考えないとダメ、ボーっとしていたらダメ。「適当」を考えればいい。
しかも、感じること。感じる感性、感じて何か、不安に思ったり、元気に思ったり、何でもいい。人間だから何かを感じればいい。そして、考えたり、感じたりする、左脳と右脳をもう1回ゼロリセットする、ワープしろと。
上手くいかなかったらそれでもいい、別に死なないよ、と。だって、考えるのと感じるのはタダじゃない?だからそれを、どんどんやり続ければいいんじゃないかと思うんですけどね。特に若い人たちにはその3つですね。「考えろ、感じろ、ワープせよ」。
稲葉 :貴重なアドバイス、ありがとうございます。授業を受けさせていただいたような気分になりました。
野澤 :弊社にも若手が多数いますので、最後に大学の先生としてのお話も聞けて良かったです。長い時間、どうもありがとうございました。
<続く>
※この対談は、NECのビジネス情報サイト「Wisdom」のブログ「ビジネスにおけるキャラクター活用」で掲載した内容を、了承の上で再掲載したものです。



