ヒットコンテンツブログ

吉田就彦のヒット学

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2010年11月アーカイブ

NECが運営するビジネス情報サイト「Wisdom」にて
Wisdomブログ「明日のビジネスを創りたい人へ ビジネスにおけるキャラクター活用」
対談シリーズとして掲載されているインタビュー内容です。
インタビュアーは野澤智行さん、他です。

2. インターネット時代におけるキャラクターヒットコンテンツの変化
3)今後のキャラクター活用に必要なビジネスプロデューサー視点 (続き)

稲葉 :どうしてもキャラクタービジネスに活用しようとすると、リスクを考えて、会社としていつやる、お金はどうする、って組織ががんじがらめになるような気がする。それは、ある程度取っ払う、突き放す度量が必要なんでしょうか?

【キーワード2-⑩:活用企業のしたたかさ×キャラクターに宿る精神性=成功への見極め】

吉田 :企業が使うとなったら、簡単に言えば度量というよりは、本当に上手く利用するというようなしたたかさがないとダメなんです。
あともう一つは、キャラクターには精神がないとダメです。精神がないとストーリーがつかない。精神がないと広がらない、人に何かを残せない、ただの絵になっちゃう。
キャラクターには精神がある。一番わかりやすい典型的な例が、「たれぱんだ」。もう、たれるんですよ(笑)。あれがやっぱり、あのキャラクターを広げたり、人気にさせた大きな理由。精神がある。その中の、精神が宿っているキャラクターは、やっぱり深いし、キャラクターとして強いんでしょうね。

野澤 :単なる絵ではなくて、想像させたりとか。「たれぱんだ」は意外性とかミスマッチ、そこなんでしょうね。

吉田 :佐藤雅彦さんが、築地の「茂助だんご」を見て「これが兄弟だったら面白いよね」と思ったのが、「だんご3兄弟」。だんごが兄弟である、なんていう見方。だんごに、兄弟愛とか戦いとかを載せることが出来る、佐藤雅彦さんの精神が、あのキャラクターを一つの世界観として出した。そういうものが、あるとないとでは全然違う。

野澤 :想像させたり、共感させたり、そういうのがないと。人じゃないので、キャラクターだと放っておくと、ただの絵に描いた餅にしかならない。

稲葉 :あとはプロデューサーの魂。

吉田 :あとはビジョンですね。ビジョンがないものには、やっぱり。クリエイターが何かキャラクターを描く。それが、どういう理由でキャラクターが必要なのかとか、事業ビジョンがあって、それらとクリエイティブなキャラクターが合致した時に初めて、意味が出てくる。
事業ビジョンがない時に、いくらキャラクターがあっても・・・。とりあえず作ってみたけど、どうしましょう?というパターンや、たまたま人気が出たから良いんじゃねえの?みたいなパターンも結構あるかもしれないけど。

稲葉 :本当に適当ですよね。

吉田 :そういうのが、キャラクタービジネスには必要なんじゃないかと思いますね。


4)これからの若手に期待すること

野澤 :最後の質問ですが、吉田さんはデジタルハリウッド大学大学院教授として、学生さんにいろいろ教えられてますよね。そういう意味で、教育、人を育てるというのも含めて、何か、もっとこういった点で気をつけた方が良いとか、教える方の立場として、一言二言でもあればお知らせください。

吉田 :それは学生に対してという意味ですか?

野澤 :若手に対して、学生でも若手社会人でも。

【キーワード2-⑪:これからの若い人たちへ~考えろ、感じろ、ワープせよ】

吉田 :総じて感じるのは、今の若者は本当の意味で自信がないから、己に自信を持て、ですね。何と言っても。さっきも言ったように、やっぱり思い切りやらないと結果が出ない。三振してもいいから、思い切り振れ、ですよ。しかもそれは自分で振ると言うことですけどね。

野澤 :就活本でもビジネスノウハウ本でもそうですけど、今は、バントでいいから絶対外すな、って感じのものが多いですよね。

吉田 :まあ一般的には企業の人事部がそれを求めるから。でも、ヒットを飛ばすには大降りしかない、その結果が次に繋がる。思い切り失敗できない奴は、絶対成功できない。特に若い子たちに言っているのは、それですね。

野澤 :デジハリとしては、むしろ外してもいいから思い切り振れ、と教えてらっしゃるんでしょうか。

吉田 :デジハリとしてはわからないけど、僕が教える動機はハッキリしていて。要するにヒットがいっぱい生まれれば、世の中が楽しくなり、元気になり、明るくなり、ついでに日本の経済も良くなり、もっと言えば世界経済も良くなる。ヒットが生まれるということは、明るく楽しくなる。それをやるために、一生懸命やっているんですよ。
それをやっていくために、お前もヒットプロデューサーになれ、お前もなれ、お前もなれ、と思って育てている。なので、皆ヒットプロデューサーになってくれればいい。ヒットプロデューサーになるためには、まず思い切りやれないとなれない。

野澤 :今のご時世、チャンスが巡ってこないからできない、ダメなんだ、と思ってしまう人も多いでしょうけど。

吉田 :なかったら自分で作る。そういうことを含めて、思い切りやらないとダメなんですよ。楽しい事がないまま年寄りになってもしょうがない。

野澤 :特に業界全体が微妙な時期だと、そうですよね。

吉田 :もう一つは、フリーじゃないけど、それに関わるコストが凄くかからないで済んでいる、今は。
これも『ヒット学─コンテンツ・ビジネスに学ぶ6つのヒット法則』で書いたヒットの要因の中に「低コスト・高クオリティ」というのがありますが(下表参照)、デジタル技術のおかげでお金をあまりかけないでもやれることはいっぱいある。ということは、いっぱいやればいい。それを、「いや、これがないと出来ません」というのは昔の考え方。
インターネットとかソーシャルメディアが散々出来ているのだから、どんどんやればいい。それが上手くいったら、また次をやればいい。
でも、どんどん試せるし、やれるのに、何をこねくりまわしてるの?みたいな人が多いのも事実です。どんどんやればいいんじゃないか、と。思い切りやってみる。やってみると、それが良いか悪いかもはっきりわかったり、もうやめ、というのもある。

稲葉 :キャラクタービジネスはまさにそうですね。

吉田 :ですよね。描けばいいでしょ?そんなの。

野澤 :そうですね、トライ&エラーでいいので、ネット上でも同人誌でも、どこかで提案・発表していける場はありますね。

吉田 :そういうことが凄い必要で、若い人とかこれからの人とか。自分が本当に何のためにやっているかというと、世の中にヒットをいっぱい生んで、世の中を明るく元気に楽しくしたい。そのためにやっているし、本も書くし講演もするし、学校でも教えているし、企業のサポートもするし。それに対して、若い人は思い切りやってくれないと困るんですよ。

吉田 :だからよく、僕の研修の中で、「考えろ、感じろ、ワープせよ」と言っているんです。思い切り考えないとダメ、ボーっとしていたらダメ。「適当」を考えればいい。
しかも、感じること。感じる感性、感じて何か、不安に思ったり、元気に思ったり、何でもいい。人間だから何かを感じればいい。そして、考えたり、感じたりする、左脳と右脳をもう1回ゼロリセットする、ワープしろと。
上手くいかなかったらそれでもいい、別に死なないよ、と。だって、考えるのと感じるのはタダじゃない?だからそれを、どんどんやり続ければいいんじゃないかと思うんですけどね。特に若い人たちにはその3つですね。「考えろ、感じろ、ワープせよ」。

稲葉 :貴重なアドバイス、ありがとうございます。授業を受けさせていただいたような気分になりました。

野澤 :弊社にも若手が多数いますので、最後に大学の先生としてのお話も聞けて良かったです。長い時間、どうもありがとうございました。

<続く>

※この対談は、NECのビジネス情報サイト「Wisdom」のブログ「ビジネスにおけるキャラクター活用」で掲載した内容を、了承の上で再掲載したものです。

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NECが運営するビジネス情報サイト「Wisdom」にて
Wisdomブログ「明日のビジネスを創りたい人へ ビジネスにおけるキャラクター活用」
対談シリーズとして掲載されているインタビュー内容です。
インタビュアーは野澤智行さん、他です。

2. インターネット時代におけるキャラクターヒットコンテンツの変化
3)今後のキャラクター活用に必要なビジネスプロデューサー視点 (続き)

野澤 :「せんとくん」問題もそうですが、世の中のヒットには、偶然が味方したものもいっぱいありますね。

吉田 :僕ももちろん狙ったけど、皆が狙っているわけです。たまたま天が僕に味方をして、たまたま当たる。天が味方をしないと、当たらないというわけです。

野澤 :上手くいかない時にてこ入れしようにも、そもそもそこにはヒットの土壌がなかった、なんてこともあるかも。

吉田 :EQとかを使って、優れたプロデューサーの能力を測る研究もやっているんですが、どうしたら当たるんですか?ヒットするんですか?と聞いたら、「吉田ちゃん、それは100%運よ」、と言った辣腕女性プロデューサーがいました。当たるというのはそういうこと、やっぱり、天にピックアップしてもらった。でも、なにも考えずに適当にやっていたらピックアップはされないものです。

野澤 :EQの話とか色々やられてますけど。単純に、適当にやる、と決断する、それだけの能力もないとダメなのだということでしょうから。適当にやってもいいんだ、と割り切れる。

吉田 :でもそれは、『ヒット学』の『ヒットを生むプロデューサーの7つの能力』で言った「目標力」、ビジョンを描きゴールをイメージできる、ある種のコンセプト力、ビジョン力なんですよ。ビジョン力を発揮して「適当でやる」ということ。だから、何と言われようと、適時妥当=適当でやると言う感じですね。(下図参照)

野澤 :何と言ってもぶれない、信念のようなものですね。

【キーワード2-⑨:2を3にするアドバンテージ~気づきの能力がヒットの源泉】

吉田 :(『ヒットを生むプロデューサーの7つの能力』のうちの「目標力」、ビジョンを描きゴールをイメージできる能力について)ファンワークス高山さんは明らかにその能力を持っています。そういう意味で言うと、能力というものは、フル能力で皆やる。能力が足りないとかあるかもしれないけど、それよりも何よりも、天の声も、勿論当たり前に取り込む。
僕は『アイデアをカタチにする仕事術』でも書いているんですが、人間の能力開発トレーニングみたいなこともやっています。よく言うのは、ヒットを生むためには、何もないところから生まれたヒットの種の1を100に育てなくちゃいけない。だけど、僕のやっていることは、せいぜい生まれたヒットの種を2から3にするぐらいの仕事。でも、2を3にするのはどんなに大変なことかと僕は言っているんです。

吉田 :「吉田さんに言われると100がわかるからヒットできる」、って言う人もいるけど冗談じゃない、と。そんなに簡単だったら、本を1冊読むとか講演を聞いたら全部ヒットするということになってしまう。そうなら素晴らしい社会だと思うけど、そんなことはあり得ないです。
だけど2から3にする意味というのは、そのプラス1を獲得するだけでも大変なアドバンテージなんですよ、とはよく言う。それがわからない人は、一生ヒットできないでしょうね。

野澤 :確かに、1から100にはならないけど、1から、2とか3にすらなっていないものも多いですもんね。3になった時点で、かなり、高校野球で言うと、地区予選を突破したぐらいの感じでしょうか?

吉田 :会社では、教育事業もやったり、マーケティング的にヒットの手助けをやったりもしている。だから、クライアントは選びます。申し訳ないけど「意識が低い企業」じゃ無理ですね。

野澤 :たとえ優秀な会社とか、個人が凄くても、という感じですか?。

吉田 :本当に真剣に「ヒットを作りたい」と思っている会社とか人だったら、僕の言っていることの本質は十分にわかるはずです。本当に思ってないんじゃないの?覚悟がないんじゃないの?という人はヤバイ。

野澤 :会社から言われて来ました、みたいな?

吉田 :それもあるし、何なんだろうな、とか半信半疑に思っている人だと、残念ながら伸びないんですよね。

稲葉 :キャラ研の相原博之さんの話を聞いた時、キャラクターをどうこうするというのに、そういう要素をいつも危惧されてました。地方自治体などもそうだけど、キャラクターを作ってどうするの、というところを考えずに始めちゃう。生まれるけど死んじゃう、その悲しさがあって。
まさにプロデュース力がこの業界にもっと出来れば、ライセンスにも商売にも強くなる。キャラクターの外れが多すぎることが、キャラクター全体の足を引っ張っているんじゃないかと思う。そこが辛い。
逆に、ビジネスにキャラクターを使おうと思った時に、何か変えていかないと。それが、もしかしたら2を3にするというのが、業界全体、キャラクターを扱う業種の人にも必要なんじゃないかと思う。

吉田 :それがプロデュース能力だと思うんですよ。プロデュース能力がない人が、いくらキャラクターマーケティングをやろうとしても無理。まず、そこがないと。いくらキャラクターをマーケティングするのに色んなノウハウが知識としてあったり、新しいビジネスモデルがわかったとして、高山さんの本を読んだとしても、キャラクターマーケティングは出来ないでしょうね。

稲葉 :我々も、何かノウハウ、プロデュースが出来るようにならないと、キャラクターがビジネスとして当たる確率が上がらないんじゃないか、という危惧を感じている。

吉田 :僕はこういう性格なので、いつもノウハウ全開にしています。これを上手く利用して使ったらいいと思うけど。

稲葉 :吉田さんがお書きになった本では、様々なプラットフォームも出してらっしゃいますね。

吉田 :能力の作り方まで書いていて、しかも結果も見せているから、やればいいんじゃないか、と思う。でもまあ、お呼びがかかったり、教えて欲しいという話にはなります。それはまあ、それが役目だからと思ってやっていますが。呼ばれれば教えるけど、全部教えているようなものなので。この2冊を掛け算したらおそらくヒットは作れるでしょう。やればいいわけで。
自分の体験とか、自分で学んだり色んな人からインスパイアを受けたりして、醸成したものを本に書きました。ノウハウを全開にしています。訳が分からずのたうちまわっていた時に、こういった本があれば良かったと自分では思いますね。

<続く>

※この対談は、NECのビジネス情報サイト「Wisdom」のブログ「ビジネスにおけるキャラクター活用」で掲載した内容を、了承の上で再掲載したものです。

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吉田就彦

Authour:
株式会社ヒットコンテンツ研究所
代表取締役 吉田就彦

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