NECが運営するビジネス情報サイト「Wisdom」にて
Wisdomブログ「明日のビジネスを創りたい人へ ビジネスにおけるキャラクター活用」
対談シリーズとして掲載されているインタビュー内容です。
インタビュアーは野澤智行さん、他です。
2. インターネット時代におけるキャラクターヒットコンテンツの変化
2)インターネット時代のビジネスプロデューサーに求められる能力(続き)
【キーワード2-④:2013年4thインパクト到来~ASIASの時代にやるべきマーケティングとは】
吉田 :メディア論で言うと、1995年にWindows 95の登場でネットによる既存メディアへのファーストインパクトがあって、2005年にはmixiのブレイクでセカンドインパクトがあり、2011年デジタルテレビ変換に伴いサードインパクトが、その後フォースインパクトが来ることになります。
このフォースインパクトというのは、完全にインターネットがメディアにおいて優勢になって、マスメディアが主従の従の関係になってしまうこと。このフォースインパクトが、Twitterの出現やリーマンショックの影響で、当初僕が予測した2015年から早まっちゃって、2013年ごろになってしまうのではないかと思っています。今年の秋に出る3冊目の本「大ヒットは数式で予測できる(仮)」には、そういうことを書いています。
吉田 :フォースインパクトが来る時の、以前mixiがブレイクした時みたいなエポックメイキングで象徴的な出来事は、皆さんの予想の通り、2013年ごろにテレビ広告とインターネット広告の広告費が逆転することだと思う。インターネット広告が上がるカーブとテレビ広告が下がるカーブがクロスするのは、おそらく2013年。そういうエポックメイキングなことが起こる。それで象徴的に主従が切り替わるわけです。
そうなると、いよいよ僕なんかが昔言っていた方法論はあまり通用しなくて、高山さんみたいな新しい時代の方法論が通用する可能性が高いですね。
稲葉 :映画なんかそうですよね。
吉田 :何故かというと、テレビスポットで映画の予告が始まる前に、皆ネットなどを通して情報を知っているんですよ。もっと言うと、ああでもない、こうでもない、って既に批評やネタバレが起こるわけです。
稲葉 :そんなふうに情報が飛び交うと、配給会社が困りますね。
吉田 :困るけど、やり方はあります。実は僕の会社はヒットコンテンツ研究所なので(笑)、名前の通り、その時代のマーケティングのやり方を提案しているんです。
今までの、マスが主体でマスへのリーチから考えるような、テレビ広告中心に投入する宣伝費は、皆ほとんどをテレビに突っ込んでいて、周りに補完的に何かのメディアも使っています。広告会社がやっているオーガニックマーケティングやオーガニック・コミュニケーション・ミックス論みたいな、種を捲いて耕して、みたいなやり方で何とかやっていたけど、今後はそのような考え方が難しくなってくるでしょうね。
野澤 :今までメディアニュートラルと言いながら、やっぱりテレビは効率性で良いですよ、という論理で提案していたやり方が通用しなくなってくる、ということですね・・・
吉田 :PRやプロモーションで耕した後に、テレビ広告で幅広くリーチを稼ぐ、というのが今までのオーガニックマーケティングのモデルです。その後にインターネットでシェアだ、みたいな考えだった。今後はスピードアップして、アテンションの後にすぐサーチが来る。"AISAS"のIの前にSが来る、と思っています。
野澤 :知ったネタでいきなり盛り上がる、ということでしょうか。
吉田 :3冊目の本に、"AISAS"から"ASIAS" モデルへ変わっていく、と書いています。AはアテンションのA。次にはサーチのS、そしてインタレスト、アクション、シェア。"アジアス"と読むんです(笑)。
稲葉 :アジア?。
吉田 :アジアの時代。まあそれと引っ掛けているんですけどね(笑)。要するにそうなるんですよ、どうしようもなく。そうなった時に、どういうマーケティングをやっていったらいいか、という風になってくる。これはキャラクターマーケティングだけではない全部のマーケティングに関する話ですが。
野澤 :このBlogでも、あくまでキャラクターはマーケティングの一要素で、企業や団体のコミュニケーション活動のための手段だと考えています。なので、そういう意味で言うと、メディア環境が変わってテレビの位置付けも違ってくる中で、キャラクターを扱うと、どういう良いことがある、という話を更に詳しくお聞かせいただけると嬉しいです。
【キーワード2-⑤:「フリー」時代には、まずキャラクターをタダで生活者の日常に持ち込ませる仕掛けが有効】
吉田 :キャラクターは、タダで配ってまずシェアさせる。今は「フリー」の時代、タダで配って日常に入っちゃう、それが最大のポイント。キャラクターはそれをやりやすいですよね。
野澤 :確かに、タダならキャラクターは貰いますよね。デジタルの情報であろうが、グッズであろうが。
稲葉 :クリス・アンダーソンが書いてるように、その上で課金モデルまでいけば、"フリーミアム"として、一部の有料コンテンツがフリービジネスを支えられますね。
吉田 :それも出来るし、「フリー」には全部で50個ぐらいのビジネスモデルが巻末に書かれているから、そのどれかを当てはめればいいわけです。単純にフリーのものと、絞った人たちからお金をいただく以外の方法もいっぱいある。やり方によって一番マッチするやつを選べばいい。教科書に書いてあるのだから、やればいいだけの話ですよね。
野澤 :今の広告ビジネスでインターネットの台頭が問題になっているのは、結局、内部的な費用対効果の部分なんですよね。商売のメインがテレビからネットの広告になると、単純に額がガクンと安くなって。今のメディア危機、新聞や雑誌の危機なんていう話をよく聞くけど、それはメディアの危機じゃなくて企業で勤めている正社員の給料の危機だ、っていう側面も大きかったりします。トップ企業と中堅以下とで給与や待遇の格差が極めて大きいのもこの業界の特徴なので、一概に決め付けるのは危険ですが。
吉田 :今後生き残るためには、大きな会社は、独立したバラバラのファンクションの集合体にならなければいけないと思いますよ。従来のビジネスしか考えられない人達にとっては過酷ですけど、ファンクションしない人や組織はもう5年後には職がない。なので、みんなその時の時代に何をやっているか考えなきゃいけない。間違いなく5年後に、このままのやり方にしがみついていたら職場がない。時代の変化に対応して行かなければならないわけです。
その時にどうするかというと、誰かに何かを売るためのお手伝いをする人は絶対に必要になる。何かを広めるため、流行らせるためにお手伝いをする人は絶対に必要です。だから、そういう人材や組織になればいいんですよ。
野澤 :確かに、モノやコトを売るためのアドバイスが出来る目利きはそんなにいないし、ネットに溢れている有象無象の情報を取っても、それが良い情報なのか悪い情報なのかはわからないですよね。
吉田 :それを皆が目指そうとすると、当然大きな組織では出来にくいので、バラバラになったりやめていったりすることになります。最初から分散していくのだから、その時代を見据えて、今までの知識と経験を生かせばいいだけなので。そういう時代になると思う。その方が企業も喜ぶし。
野澤 :大企業の従来のコミュニケーションビジネスが成り立たなくなってくる、ということですね。
吉田 :大きな企業で出来ないなら、小さな企業を相手にやればいい。だって別に、大企業じゃなきゃテレビスポットは打てないけど、小さい何とか商店にだってニーズはあります。Twitterなんか凄い力が出せるはずだから、そういう風にしていけばいい。
大企業だけにフォーカスしていったら大変になるかもしれないけど、例えば広告代理店の人間があぶれて、5年後には今の10分の1ぐらいになるとしても、あぶれた人たちは、大企業の色んな恩恵を受けて身につけたノウハウを持って、中小企業にどういうお手伝いをするかと考えれば、十分食っていける。その人間の価値は社会から十分認められるようになります。
稲葉 :ロングテールのテールの方に、ビジネスを成立させる仕組みがないから、今はテールのままですが。同じくロングテール型の構造になっているキャラクターという意味で考えても、いただいたアドバイスはヒントになると思います。
<続く>
※この対談は、NECのビジネス情報サイト「Wisdom」のブログ「ビジネスにおけるキャラクター活用」で掲載した内容を、了承の上で再掲載したものです。