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吉田就彦のヒット学

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2010年10月アーカイブ

昨日、先日出版した「大ヒットの方程式~ソーシャルメディアのクチコミ効果を数式化する」出版記念イベントをデジタルハリウッド大学院にて行った。

タイトルは、
「映画ブログ分析に見るクチコミ・マーケティングの可能性
~AVATARとアリス・イン・ワンダーランドの事例比較等により~」

第一部 ヒットの数理モデルによるブログ定量分析
●デジタルハリウッド大学大学院教授 吉田就彦
●鳥取大学大学院教授 石井晃

第二部 ヒットの話題共鳴分析によるブログ定性分析
●デジタルハリウッド大学大学院教授 吉田就彦
●デジタルハリウッド大学大学院ヒットコンテンツ研究室 新垣久史研究員

第三部 ヒトネタ・マーケティングがこれからのマーケティングを変える
●デジタルハリウッド大学大学院教授 吉田就彦

一部は鳥取大の石井先生がヒットの数理モデルを中心に、その考え方と具体的な分析事例を紹介。二部ではHCL研究室の新垣君がヒットの話題共鳴分析のトピックスとこれまでannexサイトやTwitterなどで受けてきた質問に答えた。

そして三部ではこれらの研究の地権を生かしたHCLのヒト×ネタソリューションの説明をわたしが行った。

100名に及ぶ会場は満員で最後の方では寒い天候にも関わらず、だいぶ熱気で暑くなるほど。盛り上がった。

質問もたくさんあり、有意義なイベントとなった。お集まりのみなさんの関心の高さがうかがえる。出版社のディスカヴァー21の干場社長から花束も届きステージわきに飾らせてもらった。

干場社長、どうもありがとうございました。

そしてお集まり下さった皆さん、どうもお疲れ様でした。
ありがとうございました。

ustreamでイベントの模様はご覧いただけます。
annexサイトから

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NECが運営するビジネス情報サイト「Wisdom」にて
Wisdomブログ「明日のビジネスを創りたい人へ ビジネスにおけるキャラクター活用」
対談シリーズとして掲載されているインタビュー内容です。
インタビュアーは野澤智行さん、他です。

2. インターネット時代におけるキャラクターヒットコンテンツの変化
2)インターネット時代のビジネスブロデューサーに求められる能力(続き)

【キーワード2-⑥:大組織ではなく、小回りが利いてロングテール対応可能な体制に、今後のコミュニケーションビジネスの商機あり】

野澤 :地方の活性化なんかの話でも、我々の立場からすると、そこで動くビジネスのバジェットが決して多くなかったりするからコスト効率の点でどうなんだろうね、という感じなんですが、ファンワークス高山さんが小回りの効く体制で多くのケースを手がけられているように、やり方次第でそういったチャンスはあるのかなと。地方に海外からの観光客を呼び込むためにキャラクターを使う、というのもありますよね。中国の人達に来てもらうために、とか。

吉田 :高山さんが本当に優れたビジョンを持っているビジネスプロデューサーだと思うのは、そういうところです。キャラクターの最大の強みは、日本語を喋らなくてもいい点で、キャラクターであった瞬間に、いきなりグローバルになるわけです。

野澤 :日本語がわからなくてもいいし、例えばアジア人が嫌いだったり区別がつかないような欧米の人達からも受け入れられる。

吉田 :いきなりDVDのリージョナルコードが取れるみたいなもので、キャラクターを使えば、言葉の壁や人種の壁などを越えて何でもOKになるんです。そうすると、何でもOKになるキャラクターを持っていることは、世界に自分達のメッセージを発信するための最大のアドバンテージを持っているということになるんです。日本語じゃなくてもいいんだから。
「ドラえもん」が世界各国で受け入れられていて、あれが日本のキャラクターだと知らなかった、という人が世界中に山ほどいるのと同じです。ましてやインターネットと組んだらまさにそうなりますね。

稲葉 :海外の人達にとって、キャラクターの良し悪し、好き嫌いは、日本発であるかどうか、ということとは関係ないですしね。


3)今後のキャラクター活用に必要なビジネスプロデューサー視点

【キーワード2-⑦:キャラクターのニッチ化志向~ローカルの証がいつのまにか全国展開へ】

吉田 :おそらく今後のキャラクターの展開でいくと、こういう現象が起こると思うんです。
今支持されているキャラクターは、万民受けとか万国受けとか、全体的に可愛いとか特徴があるとか、キャッチー、ある意味でマス志向です。
ですが、これからはどんどん、ニッチ志向になっていく。ニッチ志向のものは、ニッチで人気が出るんでOK。隠れキャラじゃないけど、たとえニッチでも自分たちの仲間の証みたいなキャラクターに凄く価値がある時代になっていく。
キャラクターが面白くて広がって、可愛いからおじいちゃんおばあちゃんも来てくれるね、という「ひこにゃん」の成功例があるけど、段々それが変わってくる。ロングテールがどんどん入ってくるんです。

稲葉 :確かに。「ひこにゃん」が受けたからといって、地方が変な意味で色気を持って似たようなキャラを作っても、そう簡単に2匹目はいないですし。

野澤 :それこそ、地域外での知名度が今ひとつであったとしても、自分たちのローカルな仲間の証となる、互いをつなぐハブやシンボルになる存在としてキャラクターを使ったほうがいいですよね。

吉田 :ついこの間、あるデザインや建築をやっている方と話した時、土佐県の馬路村農協のゆず製品キャラクターのラベルデザインが素晴らしく良いと言っていました。馬路村のゆず製品は年間60億ぐらい売れているそうですが、つまりあれは、馬路村を表わすキャラクター性を備えた製品を通して、素朴さとか自然の恵みとか、全国に馬路村の特徴と良さが着実に伝わっていく構造になっているんです。

吉田 :本当は「ひこにゃん」もそうかもしれないけど、非常にニッチであるその地域の特産品や名物を、ニッチなキャラクターを使って発信することで、ニッチであることの素晴らしさが全国に広がるかもしれないんです。でも、全国に広がること、マスに載せることを考えて、狙って計算して作ったニッチなキャラクターはたいがい失敗するんですよね。

野澤 :マスで宣伝せずともネットで広がっていくという状況で考えると、確かにそうですね。そうでなかったら、サンリオさんとかサンエックスさんとかの規模まではいかなくても、売り場でコアなキャラクター好きな人だけを攻める方法もあります。

稲葉 :覚悟という話があったけど、地方とか中小とか、社運を賭けるのであれば覚悟が要りますね。ニッチというのは実体であっても、難しい。

吉田 :流行らそうとか、そういうものは思い切り振りきってやらないと流行らないわけです。

稲葉 :そもそも、「ゆるキャラ」の "ゆるい"という評判も、使う目的と照らし合わせた場合、戦略として間違っているんじゃないかというケースも多々ある気がします。

野澤 :地方キャラは、何でもかんでもムリに狙って流行らせる必要はないですよね。話題になった結果、観光客が増えるなどの効果が出れば、それはそれでいいのかもしれないですけど。

吉田 :「適当にやっておかなきゃいけないもの」と、「適当じゃダメなこと」というのがある。いずれにもないのは、「適当でいいこと」。「適当でいいこと」なんてことはなくて、「適当じゃなきゃダメなこと」か「適当じゃダメなこと」か、どちらかなんです。戦略的な適当じゃなきゃいけない。

【キーワード2-⑧:必要な戦略は「戦略的な適当」か「適当にせずにしっかりやるか」であって、単なる場当たりの適当は×】

三角 :何かのスローガンみたいですね(笑)。

稲葉 :適当を保つのは大変難しい。

野澤 :普通は何かやっちゃいますよね。

吉田 :やっちゃうし、全体の皆の意見を集めて、無難な方向に落ち着いちゃう。

稲葉 :そうすると、大体失敗する。

吉田 :「せんとくん」問題がそう。面白い。結局、「せんとくん」が勝っちゃった。

稲葉 :やっと平城遷都1300年祭の本番がやってきて、ホッとした。2年前にはどうなっちゃうかと思いました。

吉田 :あれも、対抗キャラが出てきたから、もった。

野澤 :「まんとくん」や「なーむくん」が出てくるなど、世間一般から見ても面白い予想外の展開が続きましたね。対抗キャラが出てこなかったら、さすがに当対談でも先ほどお聞きした吉田さん研究で明らかになった、今の日本で口コミのネタが持続する僅か2日間とは言いませんが、発表から2年経った今までもたなかったかも。

吉田 :対抗キャラが出てきて、サイドストーリーが出来た。どういう方がどういう風に仕掛けたのか分からないけど、その方はビジネスプロデューサーとして優れている。そういう風に鼻が利いたのか、偶然そうなったのかわからないけど(笑)。

<続く>

※この対談は、NECのビジネス情報サイト「Wisdom」のブログ「ビジネスにおけるキャラクター活用」で掲載した内容を、了承の上で再掲載したものです。

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NECが運営するビジネス情報サイト「Wisdom」にて
Wisdomブログ「明日のビジネスを創りたい人へ ビジネスにおけるキャラクター活用」
対談シリーズとして掲載されているインタビュー内容です。
インタビュアーは野澤智行さん、他です。

2. インターネット時代におけるキャラクターヒットコンテンツの変化
2)インターネット時代のビジネスプロデューサーに求められる能力(続き)

【キーワード2-④:2013年4thインパクト到来~ASIASの時代にやるべきマーケティングとは】

吉田 :メディア論で言うと、1995年にWindows 95の登場でネットによる既存メディアへのファーストインパクトがあって、2005年にはmixiのブレイクでセカンドインパクトがあり、2011年デジタルテレビ変換に伴いサードインパクトが、その後フォースインパクトが来ることになります。
このフォースインパクトというのは、完全にインターネットがメディアにおいて優勢になって、マスメディアが主従の従の関係になってしまうこと。このフォースインパクトが、Twitterの出現やリーマンショックの影響で、当初僕が予測した2015年から早まっちゃって、2013年ごろになってしまうのではないかと思っています。今年の秋に出る3冊目の本「大ヒットは数式で予測できる(仮)」には、そういうことを書いています。

吉田 :フォースインパクトが来る時の、以前mixiがブレイクした時みたいなエポックメイキングで象徴的な出来事は、皆さんの予想の通り、2013年ごろにテレビ広告とインターネット広告の広告費が逆転することだと思う。インターネット広告が上がるカーブとテレビ広告が下がるカーブがクロスするのは、おそらく2013年。そういうエポックメイキングなことが起こる。それで象徴的に主従が切り替わるわけです。
そうなると、いよいよ僕なんかが昔言っていた方法論はあまり通用しなくて、高山さんみたいな新しい時代の方法論が通用する可能性が高いですね。

稲葉 :映画なんかそうですよね。

吉田 :何故かというと、テレビスポットで映画の予告が始まる前に、皆ネットなどを通して情報を知っているんですよ。もっと言うと、ああでもない、こうでもない、って既に批評やネタバレが起こるわけです。

稲葉 :そんなふうに情報が飛び交うと、配給会社が困りますね。

吉田 :困るけど、やり方はあります。実は僕の会社はヒットコンテンツ研究所なので(笑)、名前の通り、その時代のマーケティングのやり方を提案しているんです。
今までの、マスが主体でマスへのリーチから考えるような、テレビ広告中心に投入する宣伝費は、皆ほとんどをテレビに突っ込んでいて、周りに補完的に何かのメディアも使っています。広告会社がやっているオーガニックマーケティングやオーガニック・コミュニケーション・ミックス論みたいな、種を捲いて耕して、みたいなやり方で何とかやっていたけど、今後はそのような考え方が難しくなってくるでしょうね。

野澤 :今までメディアニュートラルと言いながら、やっぱりテレビは効率性で良いですよ、という論理で提案していたやり方が通用しなくなってくる、ということですね・・・

吉田 :PRやプロモーションで耕した後に、テレビ広告で幅広くリーチを稼ぐ、というのが今までのオーガニックマーケティングのモデルです。その後にインターネットでシェアだ、みたいな考えだった。今後はスピードアップして、アテンションの後にすぐサーチが来る。"AISAS"のIの前にSが来る、と思っています。

野澤 :知ったネタでいきなり盛り上がる、ということでしょうか。

吉田 :3冊目の本に、"AISAS"から"ASIAS" モデルへ変わっていく、と書いています。AはアテンションのA。次にはサーチのS、そしてインタレスト、アクション、シェア。"アジアス"と読むんです(笑)。

稲葉 :アジア?。

吉田 :アジアの時代。まあそれと引っ掛けているんですけどね(笑)。要するにそうなるんですよ、どうしようもなく。そうなった時に、どういうマーケティングをやっていったらいいか、という風になってくる。これはキャラクターマーケティングだけではない全部のマーケティングに関する話ですが。

野澤 :このBlogでも、あくまでキャラクターはマーケティングの一要素で、企業や団体のコミュニケーション活動のための手段だと考えています。なので、そういう意味で言うと、メディア環境が変わってテレビの位置付けも違ってくる中で、キャラクターを扱うと、どういう良いことがある、という話を更に詳しくお聞かせいただけると嬉しいです。

【キーワード2-⑤:「フリー」時代には、まずキャラクターをタダで生活者の日常に持ち込ませる仕掛けが有効】

吉田 :キャラクターは、タダで配ってまずシェアさせる。今は「フリー」の時代、タダで配って日常に入っちゃう、それが最大のポイント。キャラクターはそれをやりやすいですよね。

野澤 :確かに、タダならキャラクターは貰いますよね。デジタルの情報であろうが、グッズであろうが。

稲葉 :クリス・アンダーソンが書いてるように、その上で課金モデルまでいけば、"フリーミアム"として、一部の有料コンテンツがフリービジネスを支えられますね。

吉田 :それも出来るし、「フリー」には全部で50個ぐらいのビジネスモデルが巻末に書かれているから、そのどれかを当てはめればいいわけです。単純にフリーのものと、絞った人たちからお金をいただく以外の方法もいっぱいある。やり方によって一番マッチするやつを選べばいい。教科書に書いてあるのだから、やればいいだけの話ですよね。

野澤 :今の広告ビジネスでインターネットの台頭が問題になっているのは、結局、内部的な費用対効果の部分なんですよね。商売のメインがテレビからネットの広告になると、単純に額がガクンと安くなって。今のメディア危機、新聞や雑誌の危機なんていう話をよく聞くけど、それはメディアの危機じゃなくて企業で勤めている正社員の給料の危機だ、っていう側面も大きかったりします。トップ企業と中堅以下とで給与や待遇の格差が極めて大きいのもこの業界の特徴なので、一概に決め付けるのは危険ですが。

吉田 :今後生き残るためには、大きな会社は、独立したバラバラのファンクションの集合体にならなければいけないと思いますよ。従来のビジネスしか考えられない人達にとっては過酷ですけど、ファンクションしない人や組織はもう5年後には職がない。なので、みんなその時の時代に何をやっているか考えなきゃいけない。間違いなく5年後に、このままのやり方にしがみついていたら職場がない。時代の変化に対応して行かなければならないわけです。
その時にどうするかというと、誰かに何かを売るためのお手伝いをする人は絶対に必要になる。何かを広めるため、流行らせるためにお手伝いをする人は絶対に必要です。だから、そういう人材や組織になればいいんですよ。

野澤 :確かに、モノやコトを売るためのアドバイスが出来る目利きはそんなにいないし、ネットに溢れている有象無象の情報を取っても、それが良い情報なのか悪い情報なのかはわからないですよね。

吉田 :それを皆が目指そうとすると、当然大きな組織では出来にくいので、バラバラになったりやめていったりすることになります。最初から分散していくのだから、その時代を見据えて、今までの知識と経験を生かせばいいだけなので。そういう時代になると思う。その方が企業も喜ぶし。

野澤 :大企業の従来のコミュニケーションビジネスが成り立たなくなってくる、ということですね。

吉田 :大きな企業で出来ないなら、小さな企業を相手にやればいい。だって別に、大企業じゃなきゃテレビスポットは打てないけど、小さい何とか商店にだってニーズはあります。Twitterなんか凄い力が出せるはずだから、そういう風にしていけばいい。
大企業だけにフォーカスしていったら大変になるかもしれないけど、例えば広告代理店の人間があぶれて、5年後には今の10分の1ぐらいになるとしても、あぶれた人たちは、大企業の色んな恩恵を受けて身につけたノウハウを持って、中小企業にどういうお手伝いをするかと考えれば、十分食っていける。その人間の価値は社会から十分認められるようになります。

稲葉 :ロングテールのテールの方に、ビジネスを成立させる仕組みがないから、今はテールのままですが。同じくロングテール型の構造になっているキャラクターという意味で考えても、いただいたアドバイスはヒントになると思います。

<続く>

※この対談は、NECのビジネス情報サイト「Wisdom」のブログ「ビジネスにおけるキャラクター活用」で掲載した内容を、了承の上で再掲載したものです。

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NECが運営するビジネス情報サイト「Wisdom」にて
Wisdomブログ「明日のビジネスを創りたい人へ ビジネスにおけるキャラクター活用」
対談シリーズとして掲載されているインタビュー内容です。
インタビュアーは野澤智行さん、他です。

2. インターネット時代におけるキャラクターヒットコンテンツの変化
2)インターネット時代のビジネスプロデューサーに求められる能力

稲葉 :これまで話してきたものとは別に、ネットの方から始まった、ネット発のキャラクター、というのもあると思うんですけど。

吉田 :ネットから始まったキャラクターで一番有名なのは「やわらか戦車」。あれもまさに、ネットであるがゆえに出たヒット。ファンワークス高山晃さんとの対談の時に語られたと思いますし、僕も高山さんに取材しましたが、まさにあれは、インターネットマーケティングというか、インターネットのキャラクターマーケティングの大成功事例ですよね。

稲葉 :高山さんはタイムマネジメントのことをあまり明言はしていなかったけど、すぐ消費し尽くされない。さっき吉田さんがおっしゃっていた、常に新しいことをお考えになりながら、マネジメントされている。

吉田 :グダグダグダグダやっている。それが高山マネジメントの凄さです(笑)。

稲葉 :確かに、言葉では「何もやっていない」とおっしゃっていました。まあそれは謙遜だと思いますけど(笑)。

吉田 :「アイデアをカタチにする仕事術」という本にも書いたんですけど、究極の高山さんのプロデュース力というのは、何もしない。「テキトウ」。何もしないで適当にやっている。これが、高山さんのビジネスプロデューサーとして最も凄いところです。

稲葉 :聞きながら、どこまで本当かな?と思ったんですけど(笑)。

野澤 :スピード感や効率性を重視するべきで完成度みたいなものをあまり考えすぎてもしょうがない、シナリオ書きすぎない感じのほうがいいと思う、Twitterにもそんな感じがするし、などといった話を伺いました。むしろ余計なことをやると失敗するから、というようなこともおっしゃってましたね。

【キーワード2-③:クリエイターのとんがった魅力を際立たせる『働きかけ力』としての「テキトウ」プロデュース】

吉田 :それには理由があるんです。本にも書いたけど、高山さんの、「テキトウ」と「場当たり」で何もしないというのが、今の時代でヒットを生んだ究極の姿。クリエイティブにおいて、昔チェッカーズを僕がやった時のように、誰かがプロデュースしようとすると、実はひとつの方向に向かいすぎるというリスクがあります。

吉田 :凄いクリエイターには、とても濃い、独自のクリエイティビティがある。
でもこれまでのプロデューサーは、それを人に合わせようとか世の中に合わせようとか考えるので、わかりやすくするためにとんがっている角を削っていってしまう場合があるんです。そうしてマスメディアを使って上手くいったのが、僕らの時代。
何故かというと、マスで仕掛けるためには、とんがっていすぎるとマスに載らなかったから。マスに載せるために、チェッカーズをキャラクタライズしてプロデュースした。
今は、インターネットでヒットさせるためには、マスメディア全盛期のようにやらなくてもいい。今はクリエイターが全部自分でやることができる時代で、いかにとんがっているかが重要。

稲葉 :ネット時代・デジタル時代には、せっかくの濃いものを薄めないことが重要なんですね。

吉田 :ネットにおいては濃くないと意味がないので、画像が悪かろうが何だろうが関係ない、とんがっているのがポイント。しかも動画共有サイトでは、とんがっているものに、ちゃんと閲覧回数がランキングされる。プロデューサーが調べなくたって、一般視聴者の方がそれを評価するシステムであれば、プロデューサーはタッチしない方がいい。
だから、あえて何もしない、「テキトウ」。それが高山さんの究極のプロデュース術。それがまさに、彼のアイデアを形にした、『ヒット学』の『ヒットを生むプロデューサーの7つの能力』のうち、クリエイターをその気にさせ、ヒットの芽を育てるための「働きかけ力」なんですよ。(下図参照)

野澤 :前回対談(総括はこちら)で直接伺いましたが、ファンワークスの高山さんはどんどん新しいことにチャレンジされている、そういう意味では凄い面白かったです。今だからこそ、テレビと一緒に組んでWEBやデジタルで何かやっていこうと思っているとか話されていたし。Twitterを組み込んでやってみよう、という話とか。

吉田 :「究極に何もしない」と「テキトウ」。あれは目から鱗でした。僕はプロデュースをする人間なので、ついついプロデュースしたくなる、しようとする。しかし、この時代のインターネットというメディアを使ったクリエイティブなプロデュースだったら、高山さんの方が、現代的なプロデューサーとしては僕より優れた結果を出すと思う。

野澤 :変にやらない方が、クリエイターの良いところが生かされる?

吉田 :良いところが生かされなくてもいい。高山さんにとっては、(「やわらか戦車」や「ちーすい丸」の作家の)ラレコさんも、人気がなかったら無理に使わなくてもいい。誰かが出てきたら、誰かがやればいい。ネットを使ったコンテンツをどう育成していくかは、自分たちに全く関係ない。優れた人とか能力がある人は、単純に皆に支持されて成功する、当たり前じゃないか、みたいな。それを別に、自分がどうこうするわけじゃないって。

稲葉 :ちょうど吉田さんがおっしゃっていた、チェッカーズを育てるとか教育係がいるとかいった時代のプロデュース術とは、全く違うんですね。

吉田 :教育係は要らない。全く違う。僕の時代のアナログのプロデュース術は、デジタルメディアでのプロデュースでは通用しないこともあるでしょうね。

稲葉 :例えば、ネットにも絡むけど、キャラクターは全てそういうものではない、と考えた時に、吉田さんがおやりになっていたやり方が通用する世界もあるんじゃないですか?

吉田 :あるとは思うけど、インターネットとかメディアを使って何かをする時には、実は過去の成功体験が邪魔になる可能性がある。だから、高山さんは、潔く何もしません、っていう戦略をとったんですよ。

野澤 :確かに、従来型のテレビでやっているファミリー向けアニメなんかは、多分、吉田さんがやられていたような流れの、ちゃんとターゲットを考えてタイミングを見て、仕掛けて。あとテレビも映画もそうだけど、どうやって話題性を高めてやるかを制作委員会のスキームなどの中で日々考えていて、その中で吉田さんが手がけたような方法は、まだまだメインストリームだと思います。
でも今の時代だったら、高山さんみたいなやり方のほうが、もしかしたら臨機応変に面白そうなことができるかもしれないですね。


<続く>

※この対談は、NECのビジネス情報サイト「Wisdom」のブログ「ビジネスにおけるキャラクター活用」で掲載した内容を、了承の上で再掲載したものです。

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本日の日経新聞のコラム「春秋」に30年前のゲーム「パックマン」のことが記されていた。

今、廃校を利用した展示施設で、その歴史をたどる催しが開かれているということで、パックマンの制作秘話に触れている。

当時、「スペースインベーダー」が全盛で、攻撃的なゲームで男性の遊び場になったゲームセンターに、女性やカップルが楽しめるゲームをということで開発されたのが「パックマン」だったそうだ。

パクパクとピザを食べるように食べていくゲーム。発想も面白いが、独自アニメの製作に繋がるような世界観とほのぼの感がある。

4匹の怪物にそれぞれ個性を持たせたことも人気になった理由ということだが、象徴的な逸話も紹介している。

試作品で遊んだ当時の社長から「分かりにくいから1種類にしろ」と言われた開発者たちは、それを撥ね退けて作ったものだそうだ。

しかし、その社長から提供されたであろう作り手が納得するまで取り組める環境があったと開発の中心となった岩谷徹氏は言っているという。

そんな反骨、こだわりなどソフト作りへの製作者のこだわりが、ヒットを生んだということのようだ。
そんな事を美談として目にしたり、聞いたりすることが多い最近の日本の状況。今の閉そく感と符合する。

私は最近思う事がある。

それは、実は最適化というのが今の閉そく感の最大の敵なのではないかということだ。
ほとんどすべての大ヒットは、その企業や事業のサイドから生まれている。ある意味では私が提供しているヒット要因キーワード「サイド&ディープ」にそのヒット要因がある。

例をあげればキリがないが、VHSの成功などはその最たるものだ。技術者が会社の方向に逆らって、ないしょで細々と研究を続けていたから花開いた。

それをIT化のおかげで、企業活動に遊びや余裕が無くなった。最適化による無駄の撲滅がものすごいからだ。しかも有能な官僚が会社を支配する。

失敗や無駄、寄り道、こだわりから大成功が生まれる。
昔の人は偉かった。「失敗は成功の元」という。

実は効率化の先には未来はないのではないか。
今日本はそのダメな道を一直線に走っているのではないか。
特に日本人の真面目さが逆に裏目に出ているのではないか。

先日「大ヒットの方程式」という本を出した。
しかし、当たり前だがこの方程式だけではヒットは出せない。

この方程式は、ヒットを出そうと思うこだわりや思いがある人に、なんとなくの見当をつけてもらうことにこそ意味がある。私がヒット確率を2%から3%にするものと言っているゆえんだ。もちろんその1%をあげることは凄いことなのだが。

最適化、効率化を指向するためにだけこの方程式が使われたら本末転倒だ。
科学とは使われるものでなく使うもの。ITも然りである。

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「大ヒットの方程式~ソーシャルメディアのクチコミ効果を数式化する」の出版記念イベントを10月27日にデジタルハリウッド大学院にて、下記のように開催します。

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       デジタルハリウッド大学大学院 主催
「大ヒットの方程式 ソーシャルメディアのクチコミ効果を数式化する」
          る出版記念セミナー開催
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吉田就彦と弊社研究員新垣久史が、鳥取大学石井晃教授と共著
した著作「大ヒットの方程式 ソーシャルメディアのクチコミ効果を数式化する」
の刊行を記念して、デジタルハリウッド大学大学院(本校:東京都千代田区 
学長 杉山知之 以下本大学院)の主催により、著者3名による特別セミナー
「映画ブログ分析に見るクチコミ・マーケティングの可能性~
AVATARとアリス・イン・ワンダーランドの事例比較等により~」を開催いたします。
また、当日はUstream(ユーストリーム)を活用した本セミナーの生中継も実施いたします。

本著作は吉田就彦が代表を務めるデジタルハリウッド大学大学院ヒットコンテンツ
研究室と、鳥取大学石井晃教授の5年間にわたる研究成果をまとめたもので、
映画興業とブログを分析することで、ソーシァルメディアがヒットに与える影響力を
分析しています。
本著作では、CGM(コンシューマー・ジェネレイテッド・メディア)マーケティング
を初めて数式化した上で、「ダ・ヴィンチ・コード」「桃屋のラー油」
「水木しげるロード」などのさまざまなヒット現象の経緯を分析し、
ヒットを創り出す手法を提示しています。
定量分析である「ヒットの数理モデル分析」と定性分析である
「ヒットの話題共鳴分析」のふたつの分析手法により、映画のみならず、
様々なマーケティング領域に利用可能なソーシャルメディアの活用法を提案しています。

今回の出版記念セミナーでは、本著作で紹介できなかったデータを含めて
3名の著者が集って盛んにソーシャルメディアのマーケティング利用の
可能性を議論していきます。
また、本著作では紹介できなかったデータや新たな知見などを著者が追加していく
情報サイト「大ヒットの方程式annex」も開設いたしました。

【本のご紹介】 
●タイトル:「大ヒットの方程式 ソーシャルメディアのクチコミ効果を数式化する」
●発売日:2010年9月15日(水) 
●価格:2,100円
●体裁:単行本(ソフトカバー): 208ページ
●著者:吉田 就彦、石井 晃、新垣 久史
●出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン

【出版記念セミナー 概要】
「映画ブログ分析に見るクチコミ・マーケティングの可能性
~AVATARとアリス・イン・ワンダーランドの事例比較等により~」

■日 時:2010年10月27日(水) 19:30~21:00(開場19:15)
■場 所:デジタルハリウッド大学大学院 秋葉原メインキャンパス
      101-0021 東京都千代田区外神田1-18-13 秋葉原ダイビル7階
      (アクセス)JR「秋葉原駅」電気街口徒歩1分
             日比谷線「秋葉原駅」徒歩5分
             銀座線 「末広町駅」徒歩5分
             つくばエクスプレス「秋葉原駅」徒歩3分
■定 員:50名
■費 用:無料
※「大ヒットの方程式 ソーシャルメディアのクチコミ効果を数式化する」を
ご持参いただくと、セミナー内容をよりご理解いただけます。会場での販売もございます。

■主 催:デジタルハリウッド大学大学院
■Ustreamによる生中継
【デジタルハリウッド大学院Ustreamチャンネル 】
>> http://www.ustream.tv/channel/dhgs-tv
【Ustream.tvのオフィシャルサイト】
>> http://ustream.tv/

■本セミナー内容【予定】
第一部 ヒットの数理モデルによるブログ定量分析
●デジタルハリウッド大学大学院教授 吉田就彦
●鳥取大学大学院教授 石井晃
これまでのデジタルハリウッド大学と鳥取大学との共同研究成果から、映画の興行収入推移は
ブログの書込み数の推移ときわめて相関が高いことが分かっている。これはクチコミが映画の
成功にはきわめて重要な事を示している。「崖の上のポニョ」「AVATAR」
「アリス・イン・ワンダーランド」等の2009~2010年度公開の最新作品の分析結果を公開。

第二部 ヒットの話題共鳴分析によるブログ定性分析
●デジタルハリウッド大学大学院教授 吉田就彦
●デジタルハリウッド大学大学院ヒットコンテンツ研究室 新垣久史研究員
最近の話題の映画「AVATAR」と「アリス・イン・ワンダーランド」の話題共鳴分析結果により、
3D映画の可能性を含めた2作品のヒットを比較し定性分析を行った。
作品性以外に2作品が3D映画であったことから、今後の3D映画マーケットの可能性や
その際の必須ヒット要因なども指摘。

第三部 ヒトネタ・マーケティングがこれからのマーケティングを変える
●デジタルハリウッド大学大学院教授 吉田就彦
上記定量・定性分析から見えることは、クチコミを起こす有効なインフルエンサー「ヒト」
の特定と拡がっていく有効な話題「ネタ」の特定である。それを特定することで有効な
クチコミ・マーケティングが可能となる。それは映画マーケティングだけに関わらず
さまざまな領域で応用が可能である。世界的に起こっているソーシャルメディア
台頭時代のマーケティング手法のひとつとして、その方向性を示す。

セミナー詳細はこちら : http://gs.dhw.ac.jp/event/20101027/

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昨日、以前このブログにも書いた弁護士の内藤篤さんが館主の映画館「シネマヴェーラ渋谷」で20年ぶりぐらいに「チェッカーズinTANTANたぬき」を見た。

この映画館で行われている川島透監督映画祭の一環で行われ、昨日は上映後にティーチインとして、川島監督、フジテレビの河井プロデューサー、そして、チェッカーズの武内享君が参加した。

とにかく懐かしく、思い出深く、昔の空気満載の映画で、思わず享たちの姿が出たファーストカットには「若い!!」の一言。

当然25年も前の映画なのだから当たりまえだが、彼らは若く、そして時代の寵児となった勢いがあった。

これが映画という芸術の良いところなのだ。その時代時代に閉じ込められた思いや空気がふんだんに詰まっているのだ。

川島監督の演出もスバラしく、アイドル映画という特殊さを差し引いてみても面白く、笑えて、そして、ぐっと来る。

フミヤがライブのシーンでテレビに向かって「おれたちはたぬきなんだ、ごめん」というシーン。少しの間の後に「星屑のステージ」のジャーンというイントロが鳴り、ボルテージは極度に。

思えば、当時、劇場に駆けつけていた女の子はみなこのシーンで泣いていた。昨日のかつての少女たちも同様だった。

チェッカーズという奇跡と川島監督がなした奇跡。秋山道男さんをはじめ、たくさんの人の思いとクリエイティブへのこだわりがあの映画をあの時代に留めたのだ。

殺人的なスケジュールの中で撮影された「チェッカーズinTANTANたぬき」は、私の勲章でもある。

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吉田就彦

Authour:
株式会社ヒットコンテンツ研究所
代表取締役 吉田就彦

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