NECが運営するビジネス情報サイト「Wisdom」にて
Wisdomブログ「明日のビジネスを創りたい人へ ビジネスにおけるキャラクター活用」
対談シリーズとして掲載されているインタビュー内容です。
インタビュアーは野澤智行さん、他です。
2.インターネット時代におけるキャラクターヒットコンテンツの変化
1)世界観を楽しむためのサイド&ディープ戦略が重要に
吉田 :キャラクターというのは、実は非常に単純なもの、単純化されたものです。音楽とか映画とかタレントは、非常に複雑ですが、キャラクターは、可愛いなら可愛いだけで、ここに人生を感じる、とかはなかなかいかない。マンガやアニメのように、その後にコンテンツとしての細かい設定やストーリーなどを色々くっつけていかないと、キャラクターは複雑化しません。複雑化させることで、1つの情報をすぐ終わらせない、消費し尽くされないで、長持ちさせることが出来るんです。
「だんご3兄弟」にもそういう複雑化していこうという動きが佐藤さんにはあったけど、それがあまりにもヒットのスピードが速く間に合わなかったり、伝播させられないような物凄い力強いパワーで、「だんご3兄弟」というキャラクターだけが独り歩きしてしまった。あれがもっと、ストーリー性とか他のキャラクターの認知とか、佐藤さんが考えていた世界観を伝える時間があればと。それをやるのが、あのスピードでは出来なかった。
稲葉 :キャプチャーとか載せる前に。
野澤 :「だんご3兄弟」の短いキャッチフレーズとか音楽だけが、日本中でとにかく大量に溢れて、生活者は全部わかった気になっちゃったんでしょうね。やはり強いんですよ、音楽の力は。
【キーワード2-①:ヒット理論~これからのキャラクターマーケティングに欠かせないサイド&ディープ戦略】
吉田 :「だんご3兄弟」も、コンセプトの完成度はさすが佐藤さん凄く高かった。キャラクターマーケティングにおいて必要なのは、キャラクターの瞬発力と、サイドにあるストーリーとかキャラクターを上手くマーケティングしていかなきゃいけない。
『ヒット学─コンテンツ・ビジネスに学ぶ6つのヒット法則』で書いた、コンテンツの世界観をよりディープに楽しみたいという顧客心理に応えるべく、メイキングなどの特典映像を用意したり、ストーリーや設定の中に細かいサイドストーリーを埋め込む、他のメディアや事業領域でサイドコンテンツを展開するなど、商品に幅や深さをもたせるための【ヒット要因2:企画】のキーワード⑦「サイド&ディープ」戦略を、キャラクターマーケティングはより積極的に取るべきだと思う。(下図表参照)
野澤 :確かに。吉田さんもビデオのお仕事で関わったという「踊る大捜査線」とか、サイドコンテンツが充実してましたね。「ワンピース」が長年にわたってヒットし続けているのも、まだ明かされていないサイドストーリーが色々あったりするからだったりしますね。
吉田 :ファンの関心をどんどん深める、どんどん横にも興味喚起していく。僕はそれを水平垂直マーケティングと呼んでいるけど、それをやらないと、キャラクターマーケティングでは大きなヒットは望めない。
野澤 :単にかわいいとかカッコいいだけの、表面上だけのキャラクターだと確かにそう。そういう意味で言うと、例えば「リラックマ」に代表されるような、今流行っているクマ系のキャラクターには、必ずしも深いストーリーがある訳ではない。でも、絶大な人気を維持しているものも多いですよね。ああいうものは?
吉田 :おそらくニーズを物凄く限定的にしたり、「ハローキティ」もそうだと思うんですけど、ある年代の女の子だけにフォーカスを当てて、最初から物凄い絞り込んでいる。流通経路とかも絞り込んで、長くそれを延命しながら使う、という戦略がある。ある意味ランチェスター戦略ですよね。
全体の中でどれだけ絞り込んだり、どれだけ見せる場所を限定したり、あるものを1個出したらなるべく引っ張って、違う展開のものを3年後に何か出すとか、そういう風に時間のタイムマネジメントをやることによって、キャラクターマーケティング次第で、最終的な大輪の花が咲くか、受け取る果実の大きさがどのぐらいかが全然違ってきます。
野澤 :ターゲットや、どこで会える、グッズが買えるなどを絞り込んで、そこに注力できるからヒットする。ディズニーシーの「ダッフィー」もそうですね。あれがどこでもぬいぐるみを買えるようになったら、あっという間に普通のクマになっちゃう。
吉田 :「だんご3兄弟」は、NHKだから他のメディアに思いっきり取り上げられた分、あっという間に消費されちゃったので、その価値がなくなったというよりは薄まって、サイドストーリーを展開する前に売れすぎちゃったという教訓。あれがNHKでなければ。
わかりやすいのは、「およげ!たいやきくん」は、当時24局ネットのフジテレビ、ポンキッキ。525万枚という巨大なマスを、1年間で売った。「だんご3兄弟」は、たった1ヶ月で375万枚で、8倍。だけど525万枚には届かなくて、375万枚だった。当時は僕らにおっかけのテレビ取材が入った。「だんごがたいやきを抜く日」っていう。でもそれは実現しなかった。
稲葉 :メディア環境とか違いますもんね。「およげ!たいやきくん」のブームは、1975年から1976年。その違いは大きいですね。
【キーワード2-②:インターネットの浸透が生んだ、顧客との対話や顧客同士の情報交換によるヒット】
吉田 :僕のメディア論で言うと、Windows95が出る前のアナログ時代のメディアミックスが、「およげ!たいやきくん」。Windows98が出て本格的なインターネット時代になるんだけど、そこでのヒットが「だんご3兄弟」です。
インターネット時代になって、それまで5番目までしかなかったヒットの法則に、6番目の法則「顧客との対話や顧客同士の情報交換がヒットを生む」(下表参照)が追加されて、ヒットのスピードも変われば規模も変わりました。
野澤 :確かに先程の社内イントラ掲示板活用事例なんて、まさにインタラクティブですよね。
吉田 :講演なんかでも、時代の変遷に伴ってヒット理論が変化した話はよくするんですけどね。
<続く>
※この対談は、NECのビジネス情報サイト「Wisdom」のブログ「ビジネスにおけるキャラクター活用」で掲載した内容を、了承の上で再掲載したものです。



